エアブラシメンテナンスAll -in-oneキットの取扱説明書です。
エアブラシメンテナンスAll -in-oneキット内容物
ニードルパッキンネジ専用ドライバー&エアーバルブレンチ1本化、ノズルセンターツール、メンテナンスニードル(ノズルレンチ付き)、ノズルクリーニングニードル、クリーニングブラシ2mm、8mm、高粘度グリス、ノズルシール剤
各パーツの説明
ニードルパッキンネジを脱落せずに脱着出来るドライバーです。
エアーバルブのネジを脱着する為のレンチとなります。取り付け時にネジを均一に押さえる事が出来ますので、ピンセットなどよりも容易に取り付けが可能です。
(注意)エアーバルブ止めネジの精度が悪い機種の場合使用出来ない事があります。
ノズル交換の際に生じるセンター位置のズレを補正するツールとなります。特徴はノズルが取り付けられた状態でも調整が可能な点です。具体的な使用方法は、ツールをノズルと本体の間にある溝に差し込み、押し込み加減によってセンター位置を調整します。挿入後ツールを倒すとノズル位置が動き過ぎてしまう為、倒さずに挿入具合で調整してください。
ノズルセンターツールの詳しい使用方法は下記をご参照下さい。
ノズル内部の清掃、詰まった塗料の除去、折れたノズルの取り出しなど様々な場面で使用出来ます。キャップ部分はノズルレンチとなっております。エアブラシワークスAWシリーズのエアブラシのノズルは銅製となり強度がある為このクリーニングニードルでノズル内部の清掃が可能です。
注意!真鍮製のノズルの場合、ノズルを痛めてしまう恐れがある為ノズル内部の掃除には使用しないで下さい。
ノズルの材質については各メーカーにお問い合わせ下さい。ノズルの材質が分からない場合、下記のノズルクリーニングニードルをご使用下さい。
クリーニングニードルは真鍮製のノズル内部を掃除するニードルです。真鍮製のノズルは強度が低い為、無理に押し込むとすぐに割れてしまいます。その為材質の柔らかい素材のノズルクリーニングニードルを使用します。口径 0.2〜0.3mmまで対応しています。
クリーニングブラシは小さなパーツの穴にもしっかりと入るパイプブラシです。
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エアブラシメンテナンスAll ~in ~oneキット入手方法
エアブラシメンテナンスAll ~in ~oneキットは下記から入手可能です。
エアブラシメンテナンスAll ~in ~oneキット使用方法
エアブラシを長く使用していると、メンテナンスが必要な不具合が発生することがあります。この不具合はたった1つの原因から、エアーが止まらない、トリガーが動かない、エアーが出ない、塗料が漏れるなどの問題を引き起こすことがあります。一時的にグリスアップで対処することもできますが、根本的な原因を解決しなければ、同じ問題が繰り返し発生します。
エアブラシメンテナンスAll-in-oneキットは、この問題を根本的に解決するためのメンテナンスキットです。このキットを使用することで、エアブラシを完全にオーバーホールするために必要なすべてのツールが揃っています。
エアブラシ背面から塗料が漏れる不具合
エアブラシを長く使用すると、多くの機種でニードルパッキンネジが徐々に緩み、塗料がエアブラシの背面から漏れることがあります。これが先に述べた一般的な不具合の一つです。
画像の矢印部分がニードルパッキンネジを示しています。
ニードルパッキンは、塗料が塗料エリアからテールエリアに漏れないように隔てる重要な役割を果たしています。長年の使用によりニードルパッキンが緩むと、塗料がテールエリアに漏れ出し、さらにエアーバルブエリアにも侵入する可能性があります。
塗料がエアーバルブエリア侵入すると、以下の症状が順に現れます。
- 押しボタンを離してもエアーが止まらなくなる。
- 押しボタンのレバーが固くなったり、戻らなくなる。
- 押しボタンが動かなくなる。
症状が軽微なうちはグリスアップで一時的に改善できますが、塗料がさらに漏れると問題が悪化します。
この状態になると、エアブラシ本体を完全に分解して掃除し、ニードルパッキンを締め直して塗料が漏れないようにする必要があります。
エアブラシのオーバーホール
ここでは、一般的なエアブラシの背面から塗料が漏れた機種を例に、エアブラシのオーバーホール方法について解説します。この方法は、日本国内で販売されている一般的なエアブラシにほぼ同じ方法で適用できます。
用意する物
- ピンセット
- 割り箸
- 紙コップ
- 筆
- 洗浄液
エアブラシメンテナンスキットの他にこの5点を予め用意して下さい。洗浄液は様々なタイプがありますので、溶剤系、水系どちらでも自分自身で使用されている物を使用します。
エアブラシテール部分のパーツを分解
テールキャップを外し画像の様に分解します。
テールエリアに塗料が漏れ出した機種なので塗料でパーツが汚れています。ここまで汚れるとオーバーホールが必要です。
エアーバルブを外す
エアーバルブレンチを使いエアーバルブ部分を外します。スプリングが飛び出す場合がありますので、注意してゆっくりと取り出します。
エアーバルブレンチは現在ニードルパッキンネジドライバーの反対側に付いています。(1本化しています。)
エアーバルブを止めているネジは機種によっては精度が悪く、エアーバルブレンチが入らない場合があります。その場合ピンセットなどを使用して取り外して下さい。
エアブラシワークスAWシリーズはエアーバルブがアッセンブリで取り外しが出来ますので、分解せずに取り外して下さい。
エアーバルブ内の筒を取り出す
エアーバルブ内に真鍮の筒がありますので、割り箸を差して引っ掛ける様に抜き出します。
割り箸はカッターなどでサイズを調整して下さい。
このパーツにはゴムパッキンが付いていますので、溶剤系の洗浄液を使用している方は必ず取り出して下さい。水溶系の洗浄液を使用している方も、塗料の侵入がある場合は取り出します。
押しボタンのパッキンを取り出す
押しボタンのOリングを取り出します。Oリングは画像の位置にあります。
AWシリーズはテフロン製のパッキンとなりますので、取り外しは不要です。
ニードルパッキンネジドライバーの先端を使用して反対側からOリングを取り出します。。塗料で汚れていると筒の壁に引っ掛かる場合がありますので、エアブラシを軽く机などに叩いて取り出します。
画像は取り出したOリングです。
ニードルパッキンネジを取り出す
ニードルパッキンネジドライバーを使用してニードルパッキンネジを取り出します。
取り出したニードルパッキンネジにパッキンが付いているタイプと付いていないタイプがあります。付いていないタイプはエアブラシ本体に残っていますが、無理に取り出す必要はありません。
ニードルキャップ、ノズルキャップを外し、ノズルをメンテナンスニードルのキャップ部分に付いているノズルレンチを使用して外します。
洗浄液に漬ける
分解したパーツを紙コップなどに洗浄液を浸し30分程漬けておきます。
溶剤系の洗浄液の場合ゴムパッキンが痛むので、ゴムが付いているパーツは漬けてはいけません。
パーツ類を洗浄する
筆などを使用して汚れを洗浄します。筆は豚毛の平筆が硬さがあって良いです。さまざまなエアブラシの取説にはやわらかい筆がおすすめと書いてありますが、柔らかい筆でエアブラシは洗浄できません。
クリーニングブラシを使いパーツの穴の中を洗浄します。
テールエリアは大きなクリーニングブラシを使って洗浄します。
エアブラシ本体の塗料通路もクリーニングブラシを使用して洗浄します。
ノズル内部をクリーニングする
洗浄液にしばらく浸けた後、ノズルクリーニングニードルを使いノズル内部をクリーニングします。
殆どのエアブラシの場合、ノズル内部はノズルクリーニングニードルを使用して洗浄して下さい。エアブラシワークスAWシリーズの場合メンテナンスニードルの使用が可能です。
ノズルクリーニングニードルをノズルに挿入して、中で回転させます。ノズル内部の壁面が汚れている場合、汚れが滲み出てきます。
ノズルクリーニングニードルは0.2mmと0.3mmのノズル口径に対応しています。0.18mmと0.5mmには対応していませんので、その機種のニードルをお使い下さい。
エアブラシに水を入れ洗い流す
水溶性の洗浄液の場合はエアブラシに水を入れて洗浄液を洗い流します。水道やバケツなどに水を入れて洗浄しても良いです。
溶剤系の場合は洗浄液をエアブラシに入れて洗い流します。
メンテナンスニードルを使用して、角にこびり付いた汚れを削り落とします。
エアーバルブの組み付け
ニードルパッキンネジドライバーの先端にOリングを画像の様に取り付けます。
ニードルパッキンネジドライバーをエアブラシ本体のエアーバルブの穴に挿して、Oリングをエアブラシ本体に取り付けます。
真鍮の筒のゴムパッキン部分に高粘度グリスを塗ります。
エアブラシ本体に取り付けます。
エアーバルブは画像の様な順番で取り付けます。
エアーバルブレンチでネジを取り付けます。
ニードルパッキンネジ取り付け
ニードルパッキンネジ部分は塗料がテール側に漏れる原因です。この部分から塗料が漏れて来ない様にネジを少しだけ増し締めします。
画像の様にニードルパッキンネジドライバーにネジを取り付けます。
エアブラシ本体に取り付けます。締め具合はネジが止まった所からほんの数ミクロン締める程にします。ネジの締め具合は重要で、締め過ぎるとパッキンが潰れてニードルが入らなくなります。
ニードルを反対側(尖ってない方側)でニードルパッキンに挿して、パッキンの潰れ具合を見ます。
ニードルを動かして僅かに抵抗がある程度が程良い締め具合です。抵抗が無いと塗料がまた漏れて来ますし、締め過ぎるとニードルが動きません。程良い締め具合にします。
ノズルの取り付け
エアブラシワークスAWシリーズはノズルパッキンが付いていますのでノズルシール剤は不要です。ただし、ノズルOリングが破損した場合にはノズルOリング単品での入手が不可の為、このノズルシール剤で代用可能です。
ノズルレンチで取り付けます。締め過ぎると簡単に折れてしまうので、締まった所から数ミクロン増し締めする様にします。
はみ出したノズルシール剤をウエスなどで拭き取ります。
ノズルを締め過ぎて折れて締まった場合
ノズルを強く締め過ぎると簡単に折れてしまい、ネジ部分だけがエアブラシ本体に残ってしまいます。取り出すにはメンテナンスニードルを折れてしまったノズルに強く挿し左に回します。
残っていたネジ部分を取り出す事が出来ます。
ノズルセンターツール
ノズル交換の際に生じるセンター位置のズレを補正するツールとなります。ノズルが取り付けられた状態でも調整可能です。
【重要!】ノズルセンターツールは間違った方法で使用するとノズルを痛めてしまう可能性がある為、使用方法をしっかりと理解してから使用して下さい。
使用方法
ルーペを使用してノズルキャップの穴とノズルの位置を確認します。
ルーペを持っていない場合はスマホで撮影して拡大すると確認が可能です。
ずれている場合はノズルセンターツールでノズルの位置をセンターに調整します。
ノズルセンターツールはノズルと本体の間にある溝に差し込みます。ツール自体がテーパー(斜めに傾斜)になっている為、差し込み具合で調整が出来ます。
ツールを差し込んで、ツールを倒すとノズルの位置が動き過ぎてしまう為、倒さずに差し込み具合で調整して下さい。
ノズルキャップを取り付けてルーペーで位置を確認し必要なら再度調整をします。
動画があるので使用方法を確認して下さい。
【重要!】ノズルヘッドが分解出来る機種は本体に取り付けた状態でツールを使用して下さい。ノズルヘッドを分解してツールを使用するとノズルを痛める可能性があります。
ノズルキャップを取り付けた状態で確認し、ノズルがセンターの調整出来たらOKです。
完璧なセンターに調整するがベストですが、難しい場合はセンターから20%以内の範囲であれば、使用感的には問題はありません。
テールエリア部分のパーツのグリスアップ
押しボタンの先端部分にグリスUPします。付け過ぎたら拭き取って下さい。
押しボタンを組み付けます。切り込みがある方側が後ろになります。
【重要!】返品されたお客様のエアブラシを調査していると、押しボタンの向きを逆向きに挿入して、塗料の出が悪くなったとクレームを言って来られるお客様がいらっしゃいます。押しボタンを逆に入れると、押しボタンのレバーを物理的に全開の位置まで引けずに塗料の出が悪くなります。押しボタンの向きは間違えないでください。
トリガーガイドにグリスUPします。
ニードルチャックとスプリングを着けてスプリングガイドを装着します。
スプリングガイドは、本来エアブラシの押しボタンを引く感触の調整に使用する為、この部品をきつく締めると押しボタンの引きが硬くなり、逆に緩めると柔らかくなります。本来は自分の好みに合わせて調整します。
こちらはAWシリーズのスプリングガイドの一般的な締め具合です。お好みで硬さを調整して下さい。
【重要!】スプリングガイドは奥まで締めてはいけません。奥まで締めると押しボタンのレバーを物理的に全開の位置まで引けませんので、塗料の出方が悪くなります。返品のお客様のエアブラシを調査していると、このスプリングガイドを奥まで締めている方が一定数いらっしゃいます。
ニードル固定ナットを装着してニードルを挿入します。
ニードルは簡単に曲がってしまいますので、ニードルの先端に触れない様に注意して挿入します。
テールキャップを付けて完成です。
エアブラシを正しい方法でメンテナンスすれば、長年に渡りお使い頂く事が出来ます。
サポートについて
このページの解説を読んでも良く分からなかった方はエアブラシワークスサポートチームまでお気軽にお問い合わせ下さい。お客様がエアブラシを快適に使用できるよう、全力でサポートいたします。