エアブラシワークスAWシリーズ

エアブラシワークスAW-1シリーズ オーバーホール手順

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約14分
エアブラシのオーバーホール
エアブラシワークスAWシリーズ
エアブラシワークスAW-103

AW-102, AW-103, AW-105の共通手順です。

エアブラシの寿命は非常に長く、消耗パーツの交換と定期的なオーバーホールを行うことで、数十年にわたって使用することが可能です。このページを参考にして、末長くエアブラシをご利用いただければ幸いです。

注意!エアブラシをオーバーホールすると、90日間保証の対象外となりますのでご注意ください。

保証の対象外にはなりますが、エアブラシがうまく動作しない場合は、エアブラシワークスサポートチームまでご連絡ください。サポートはエアブラシワークス公式LINEから承ります。

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エアブラシのオーバーホール時期

エアブラシのオーバーホールは頻繁に行う必要はなく、必要な時に行うのが良いでしょう。オーバーホールが必要な場合とは、エアブラシのテールエリアに塗料が侵入し、レバー操作に支障をきたす時です。

テールエリアに塗料が侵入する理由

エアブラシの構造は、下記の図のように塗料エリアとテールエリアをニードルパッキンで隔てています。このニードルパッキンのネジが緩んだり、正しく機能しなくなると、塗料がテールエリアに侵入することがあります。この状態になると、レバー操作がスムーズに行えなくなり、オーバーホールが必要となります。

ニードルパッキンの構造

テールエリアには押しボタンやエアーバルブなど、エアブラシを操作する重要なパーツがあります。そのため、テールエリアが塗料で汚れると、エアブラシの操作に支障をきたします。

テールエリアに塗料が侵入すると、まずエアーが止まらなくなります。これは、押しボタンに塗料が付着して固まった時に起こる症状です。

押しボタンの汚れ

この状態になったらエアブラシをオーバーホールする時期となります。

オーバーホールで汚れを落とすだけでなく、塗料が侵入してくる根本的な原因も修理します。

オーバーホールに必要な道具

  • エアブラシメンテナンスAll-in-oneキット
  • 紙コップ
  • 筆(豚毛の平筆が良い)
  • 洗浄液
  • 洗浄に使用するもう1本のエアブラシ

オーバーホールの解説手順ではエアブラシメンテナンスAll-in-oneキットを持っている事を前提としています。キットの入手は、下記のリンクからお願いします。

エアブラシメンテナンスAll-in-oneキット

Amazonからはこちら https://amzn.asia/d/6dsYKqN

エアブラシの分解

まずは分解方法から解説します。

テールキャップ

テールキャップを取ります。

ニードル止めネジ

ニードル止めネジを緩めます。

ニードル

ニードルを慎重に抜きます。

止めネジを外す

ニードル止めネジを外します。

ニードルガイド

ニードルガイドを取外します。

押しボタン

押しボタンを抜きます。

エアーバルブ

エアーバルブを取り外します。

ノズルキャップ

ニードルキャップとノズルキャップを取り外します。

ノズルの取り外し

ノズルを取り外します。左に回して下さい。

押しボタンOリング

メンテナンスニードルを使い押しボタンOリングを取り外します。

押しボタンOリングの取り外し方

Oリングを取り外す時はOリングの外側に引っ掛けて下さい。

押しボタンOリングの取り外し方

Oリングの内側を傷付けるとエアー漏れの原因になるので注意して下さい。

ニードルパッキンネジ

ニードルパッキンネジを外します。ニードルパッキン専用ドライバーを使用すると便利です。

ニードルパッキンはテフロン製なので、締め過ぎて潰れない限り永久に交換する必要はありません。

ノズルキャップOリングを取り外します。メンテナンスニードルに引っ掛ける様に取り外して下さい。

エアブラシ分解図

これで分解は完了です。

エアーバルブの分解

エアーバルブにまで塗料が侵入してしまった場合、エアーバルブも分解します。殆どの場合、押しボタンOリングで塗料は止まりますので、塗料の汚れがなければ分解する必要はありません。

エアーバルブにまで塗料が侵入して来た場合、押しボタンOリング(白いOリング)も交換が必要です。

エアーバルブの分解

ニードルパッキンドライバーの裏側にエアーバルブのネジを外す専用vレンチが付いています。

エアーバルブ裏側のネジを外します。ネジを外すとスプリングが飛び出して来ますので、外す際には注意してください。

エアーバルブピン

内部のスプリングとピンを外します。

Oリング

メンテナンスニードルを使いOリング類を外します。

Oリング

エアーバルブ本体に付いているOリングを外します。

エアブラシの洗浄

溶剤に漬ける

紙コップなどに洗浄液を入れ、エアブラシ本体と、パッキン以外のパーツを全て漬けおきします。洗浄液のタイプや汚れ具合にもよりますが、10〜30分程で良いでしょう。

テールエリアの汚れが酷い場合、エアブラシ本体まで浸かる様に洗浄液を入れて下さい。

洗浄液に入れてはいけない物

洗浄液に漬けてはいけない物を下記にリスト化しておきます。

  • Oリングなどのゴム類
  • ノズル(Oリングが付いている場合)
  • エアーバルブ(分解しない場合)
  • テールキャップ

ニードルについてはウエスで拭くだけで洗浄出来るので、漬けおきする必要はありません。

Oリングが付いているノズルの漬けおきは、Oリングが破損する可能性があるため避けた方が良いでしょう。Oリングを取り外してノズルシール剤を塗布する場合は、漬けおきしても問題ありません。

エアーバルブ分解

エアーバルブを分解した場合は、Oリング以外を漬けおきしておきます。

ニードルの清掃

ニードルは洗浄液を付けたウエスでクリーニングします。

ニードルの曲がりのチェック

指で擦るとニードルの曲がりをチェック出来ます。指先の感覚は数ミクロンの段差を感知出来ます。引っ掛かりがある場合は曲がっています。

ニードルの修理

曲がっていた場合2000番程度の水研ぎペーパーで回転させながら削ります。

曲がりが酷い場合は交換してください。ニードルは消耗品なので、数本ストックしておく事をお勧めします。

エアブラシパーツの洗浄

洗浄液を筆を使い細部の汚れを落としまます。

筆は豚毛の平筆が毛にコシがありエアブラシの洗浄に良いです。

エアブラシクリーニングブラシ

エアブラシ本来内部はクリーニングブラシを使用して洗浄します。

内部の汚れが酷い場合、漬けおきの容器の中でブラシを使用して洗浄すると効果的です。

全てのパーツは後程エアブラシに洗浄液を入れて洗い流します。

エアブラシクリーニングブラシ

細かい部分は小さなクリーニングブラシを使用します。

洗浄用エアブラシ

洗浄用のエアブラシに洗浄液を入れて汚れを洗い流します。

ノズルキャップの洗浄

特にノズルキャップの裏側はしっかりと洗浄してください。

ノズル内部の清掃

ノズルはメンテナンスニードルでノズルの内壁をクリーニングしてください。

特にサフなどの濃い塗料を使用している場合、底面に塗料が沈殿しています。メンテナンスニードルを回転させて溜まった塗料を押し出してください。

メンテナンスニードルは真鍮製のノズルに使用するとノズルが破損しますので、ご注意ください。AWシリーズのノズルは銅製なので大丈夫です。

ノズルの洗浄

ノズルなど細かいパーツはピンセットで摘んでしっかりと固定して、エアブラシで洗浄します。

もしOリングが外れてしまったら、外したままノズルシール剤を塗ります。

ノズルOリングは基本的に消耗品です。頻繁にノズルを取り外す方はOリングを取り外してノズルシール剤を塗布した方がトラブルを未然に防ぐ事が出来ます。

エアブラシの組み付け

エアブラシを組み付けます。

Oリングの取り付け

ノズルキャップOリングを取り付けます。

ノズルキャップOリング

しっかりと奥まで取り付けます。

ノズルの取り付け

ノズルレンチにノズルをセットします。ノズルの先端には触れない様に注意してください。

ノズルの取り付け

ノズルレンチでノズルを締め付けます。締め付け具合はノズルOリングが付いている場合と、ノズルOリングを外してノズルシール剤を塗布してある場合とで少し違います。

正常なノズルの締め具合

正常な締め具合

ノズルOリングが付いている場合、止まった所でOKです。言葉では締め具合の強さを表現出来ませんが、ルーペで拡大した時にノズルOリングが潰れていればOKです。

ゆる過ぎ

ノズルの締め付け緩すぎる

パッキンが潰れていない状態だったら少し増し締めして下さい。

締め過ぎ

締め過ぎた場合、Oリングがはみ出す場合があります。

緩めてもOリングがはみ出している場合、Oリングを外してノズルシール剤に切り替えて下さい。

ノズルシール剤

Oリングが破損している場合、ノズルシール剤を塗りシール効果を出します。

Oリングは全て消耗品となります。頻繁にノズルの付け替えをする場合、Oリングは取り外してノズルシール剤を塗って下さい。

ノズルシール剤はノズルの内部にシール剤が入らない様に注意して、なるべくネジ部分が隠れる様に塗ります。

ノズルレンチ

ノズルシール剤を塗った場合、Oリングの時よりも少し強く締めます。止まった所から少し回す程度です。強く締めると簡単に折れてしまうので、注意して下さい。

ノズルの取り付けに関する記事があります。さらに詳しく解説していますので、組み付ける前に目を通して下さい。

ノズルが折れてしまった場合下記の記事を参照して下さい。

ノズルキャップを取り付けます。ルーペで拡大してノズルキャップの穴に対してノズルの位置を確認します。

ルーペを持っていない場合、スマホの接写機能でも確認出来ます。

ノズルは分解したら締め具合によってノズルの位置が変わりますので、センター調整が必要になります。

ノズルセンターツール

本来真ん中にあるノズルの位置がずれていたら、ノズルセンターツールでセンター調整をします。

ノズルのセンター調整は下記の記事を読んでください。

ノズルのセンター

ほぼ真ん中にあればOKです。

ノズルのセンター調整

実際に吹付けた感覚では、真ん中の20%の範囲にあれば違いは分かりませんので、問題ありません。

気になる方は真のセンターに調整して下さい。

ニードルキャップ

ノズルの調整が終わったらニードルキャップも取り付けておきます。

押しボタンOリング

押しボタンOリングを取り付けます。

押しボタンOリング取り付け

ニードルパッキンネジドライバーを使用するとパッキンを痛めずに取り付け出来ます。片側から溝に押し込んでください。

押しボタンOリング

片側が溝にはまったら、反対側も押し込む様に溝に入れてください。

重要!ニードルパッキンネジの調整

ニードルパッキンを取り付けて、締め具合の調整をします。

この作業でテールエリアに塗料が侵入してしまう原因を修理します。ニードルパッキンの締め具合でテールエリアに塗料が侵入して来ない様に調整します。

ニードルパッキン

ニードルパッキンを取り付けます。ニードルパッキンドライバーにネジを乗せて、エアブラシ本体のネジ穴に挿入します。

重要!締め具合は止まった所から僅かに締める程度です。締め過ぎて潰れてしまった場合、元に戻りませんので交換が必要になります。

締め具合の確認をします。ニードルの裏側を使用し、実際にニードルパッキンの穴に入れて締め具合を見ます。

少し抵抗がある程度がベストな締め具合です。

締め過ぎるとパッキンが潰れてニードルの動きが固くなります。

緩め過ぎると塗料がテールエリアに漏れ出し、オーバーホール自体が無意味となってしまいます。

ニードルパッキンの締め具合はエアブラシを組み付けた後にも再度確認します。

ニードルパッキンネジは組み付け後にも再度ニードルの動きを見て調整します。

押しボタンの下のピンにグリスを塗ります。これにより押しボタンの動きがスムーズになるだけでなく、エアー通路の機密性もアップします。

押しボタン

エアブラシ本体にあるエアーバルブの穴に押しボタンのピン部分を挿入します。

押しボタン

押しボタンのピンをエアーバルブの穴に入れて取り付けます。

押しボタンの向きを間違えないでください。スリッドが前側になります。

逆に付けるとレバーを全開の位置まで引けずに、塗料の出方が悪くなります。

エアーバルブを取り付けます。

エアーバルブの組み付け

エアーバルブを分解した場合の解説です。

パッキンとスプリングをピンに取り付けたら、画像の向きでエアーバルブ本体に入れます。

エアーバルブドライバーの上にネジを乗せます。

ネジを締め込みます。

ネジは奥まで締める必要はありません。

画像の様にピンが1〜2mm出っ張る程度にネジを締めます。

スプリングガイドの取り付け

スプリングガイドにグリス

スプリングガイドの押しボタンと干渉する部分にグリスを塗ります。

スプリングガイド

スプリングガイドを取り付けます。

スプリング

ニードルスプリングを取り付けます。

スプリングガイド

スプリングガイドをねじ込みます。

スプリングガイドは画像の締め具合が適切です。

スプリングガイドは、本来エアブラシの押しボタンを引く感触の調整に使用する為、この部品をきつく締めると押しボタンの引きが硬くなり、逆に緩めると柔らかくなります。本来は自分の好みに合わせて調整するものですが、一般的にネジは奥まで締めるという常識がありますので、お客様の中には奥まで締め込んでしまう方が一定数いらっしゃいます。

奥まで締めると押しボタンを十分に引けなくなり、塗料の出方が悪くなります。一方で、スプリングガイドを緩め過ぎると、ニードルが正しく戻らなくなり、塗料が止まらない問題が起こることがあります。このため、適切な締め具合で使用することが重要です。

スプリングガイドの締め具合
スプリングガイド締め過ぎの状態

ニードルナットを取り付けます。ナットは奥まで絞めずに、軽くネジを掛ける程度にします。

ニードルを挿入します。

ニードルの先端は何かに触れるだけで曲がってしまうので、画像の様に指先に乗せてから、ニードルナットの穴に慎重に挿入します。

押しボタンの干渉

もう一つ注意点として、ニードルは押しボタンの間を通りますので、押しボタンが浮き上がっているとニードルが干渉して曲がってしまいます。しっかりと押しボタンが奥まで挿入されているか確認して下さい。

ニードルを挿入する時に、ニードルパッキンの締め具合を再度確認します。挿入時に少し抵抗があるのがベストな締め具合です。ニードルの動きが固かったり、逆に何も抵抗が無い状態だと、塗料がテールエリアーに侵入してきます。ここでチェックして調整が必要なら再度分解してニードルパッキンの締め具合を調整して下さい。

ニードルを軽く奥まで挿入したらニードルナットを締めます。

ニードルの調整

ニードルの調整

希釈剤などを入れて親指でエアーだけ出し、ニードルナットを緩めます。

ニードルキャップは取り外した方が調整しやすいです。

ニードルの調整

ニードルを引いて塗料を出します。

少しづつニードルを挿入して、ギリギリ塗料が出ない所を探ります。この時ニードルナットを一緒に持つと微調整が出来ます。

ニードルの調整

良い部分に調整出来たらニードルナットを締めます。

細い線を描いて調子を見ます。この時エアーだけ出して塗料が漏れていたら再調整します。

動画がありますので、確認して下さい。

ニードルガイドの調整

ニードルガイドによってはニードルの動きが硬く、ニードルの調整がしにくい場合があります。

ニードルパッキンドライバーの先端を使って、ニードルガイドを少し広げると、ニードルの動きがスムーズになり、調整がしやすくなります。

ニードルパッキンドライバーを回す様にニードルガイドの穴を広げます。広げ過ぎるとニードルガイドが折れてしまうので、少しづつ広げて下さい。

全ての調整が終わったらテールキャップを取り付けて完成です。

エアブラシのチェック方法

AW-1シリーズはすべての口径で細い線が描けるように調整されています。出荷前に以下のチェックを全製品実施しています。オーバーホール後のエアブラシのチェックは下記の事項を参考にされると良いでしょう。

  1. レスポンス良く塗料が出るか
  2. 細い線が描けるか
  3. 吐出量は正常か
  4. 塗料は漏れていないか

①レスポンス良く塗料が出るか
レバーを少し引いただけで塗料が出るか確認します。出ない場合は、ニードルの調整を行います。それでも改善しない場合は、ノズルを交換します。

②細い線が描けるか
透明な希釈剤で細い線が描けるかテストします。描けない場合は、ニードルとノズルセンターの点検をして異常がなければノズルの交換を行います。細い線が描けることは、ノズルとノズルキャップの位置関係が正常に機能していることを意味し、通常はドットも正円になり、ミストも細かく噴霧できます。細い線が描けるエアブラシは全体的に正常に機能している事になります。

③吐出量は正常か
レバーを全開にした時の吐出量を確認します。吐出量が少ない場合は、ノズル内部を確認し、異常が無ければノズルを交換します。

④塗料は漏れていないか
エアーだけ出した時に塗料が漏れていないか点検します。ニードルを調整しても漏れる場合はニードルを交換し、それでも改善しない場合はノズルを交換します。

僅かに塗料が漏れるエアブラシは、調整次第で使いやすいエアブラシに変貌します。少し引いた時にすぐに塗料が出るレスポンスの良いエアブラシは使いやすいので、塗料の漏れが直れば紙一重で完璧なエアブラシになります。

弊社では、僅かに漏れるエアブラシを調整し、使いやすい状態でお客様にお届けするよう努めています。しかし、気温などの微妙な変化で再び漏れが生じることがあり、その場合、返品処理が必要になることがあります。私たちは、お客様に使いやすいエアブラシを提供するために最善を尽くしていますが、この取り組みが逆に返品処理につながることがある点について、ご理解いただけますと幸いです。

サポート

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